波津彬子さんの『ふるぎぬや紋様帳 1』は、主人公がアンティーク着物店で、古衣にまつわる不思議な出来事を体験するお話。着物に関する知識も学べる、美しい漫画です。
「ふるぎぬや紋様帳1」 あらすじ
インテリアコーディネーターの伊都子は、祖母の形見の着物コレクションを処分するため、導かれるようにアンティーク着物店「ふるぎぬや」にたどり着く。
そこには着物を粋に着こなした青年と、美しい女声、悉皆屋(着物全般の修理屋)の少年など、一風変わったものたちが集まる場所。
伊都子はそこで、祖母や、それぞれの持ち主の着物にまつわる「思い」に触れることになり…。
着物に特化した物語
『雨柳堂夢咄』は骨董全般のお話でしたが、今回の『ふるぎぬや紋様帳 1』は、着物に特化したものがたりです。
古着といっても、時代によってデザインも織り方、染め方も違います。
明治・大正の頃は着物に対して愛情をもって手間をかけて作られたものが多く、そうした着物には「良い思い」がつまっているのです。
第一話に出てきた桜の着物のエピソードで、主人公の祖母が「桜が咲いてしまったから、桜の着物はおかしいけれど、好きな人に、お気に入りの着物で会いたい」と言っていました。
実は、桜の着物は、桜が咲いている時期には着ないという習慣があるからなんですね。
そんな着物に関する知識が学べる漫画です。

