令和時代の新しい着物コーデ『フリースタイル着物コーデBOOK』

きもの本感想

令和の着物コーデはもっと自由でいい。

みさまるさんの『フリースタイル着物コーデBOOK』は「襦袢なし」「普段着にプラス」「帯代わりのベルト」でOK。着物に興味があっても難しそう…と思う人に読んでほしい一冊です。

これまで、大正・昭和の和洋折衷ファッション本や、着物研究家シーラ・クリフ先生のスタイルブックなど「自由な着物スタイル本」を読んできました。

そして今回、みさまるさんの『フリースタイル着物コーデBOOK』は更に進んだ、令和時代の新しい着物ファッションブックです。着物の新しい可能性を感じます。

スタンダードな着物コーデ

フリースタイル着物というと、花魁のような着崩しコーデを思い浮かべます。

何も知らずに自由にやってしまうと、単にだらしなくなってしまいますよね。しかし、作者のみさまるさはまず、きちんとしたスタンダードの着付けも紹介しています。

基本の着付けを紹介することによって、アレンジスタイルとの対比がわかりやすくなっているのです。

着物に限らず、基本をしっかり押さえておかないと、ただの「形無し」になってしまいますから。

型を会得した人間がするのを「型破り」と言う。そうでなければ、ただの「形無し」なんだ。

十八代目中村勘三郎

中世からパンクまで、みさまる流着物コーデ

実は着物と洋服って、案外合うんです。

大正時代には、バッグやアクセサリーを着物とあわせる和洋折衷スタイルが流行しました。谷崎潤一郎の奥様・松子さんも、着物にビーズのバッグをあわせています。

昭和時代もセーターと羽織をあわせるような、和洋折衷アレンジが盛んに行われていました。

羽織+洋服のかんたんスタイル

カンガと道行

『フリースタイル着物コーデBOOK』では初級編として、羽織をジャケット代わりに洋服とあわせています。

また、羽織をベルトで留めたりと、和洋折衷の着物コーデを紹介しています。

私も、アフリカ布の巻きスカートと道行コートをあわせてみました。案外しっくりいくものです。

着物+浴衣の中世風スタイル

帯を使わず、腰紐やベルトの上から布を巻くのが中世風スタイル。布はスカート、オーガンジーなどなんでもOK。浴衣を折って巻きつけてもかわいいですね。

私がこのアレンジが素晴らしいと思ったのは、サイズが合わない、汚れて普通には着れない着物を再利用できることです。

私も、みさまるさんがアンバサダーをつとめる和モードブランドKUDENの着物ガウンとアフリカ布をあわせてみました。

みさまる中世風コーデ
みさまる中世風コーデ

コスプレ上等・パンクとゴシックスタイル

こちらは少し上級編です。黒い着物にベルトやコルセット、レースを大胆にあわせます。また、着物を思い切って短くリメイクし、ショートパンツやブーツと合わせたり。

実は、ゴスロリもパンクも、着物コーデとの相性がいいのです。コスプレ好きな人にもおすすめなんですよ。

まとめ

読んでみて改めて「着物って自由なんだ」と感じました。そして、みさまるさんがとても着物を愛していることが伝わる本でした。

しかし、着物は衰退の一途をたどっています。にも関わらず、頭の固い一部の着物警察たちや、詐欺まがいに高い着物を売りつける呉服屋など、問題は山積みです。

しかし、一方でみさまるさんのような若い人が、着物を愛し、令和の新しい着物スタイルを提案してくれています。これは、いち着物ファンとして本当にうれしいです。

着物警察に負けず、これからも新しい着物スタイルを紹介していってください。微力ながら応援しています。