NO MORE 着物警察!私の着物警察体験談と考察について

着物いろいろ雑記


着物警察とは、着物を着ている女性の着付けを街中で居丈高に注意する(年配の)女性たちのことを指します。(「お直しおばさん」「着物特高」とも)

私の着物警察体験談

私も街を歩いていると、知らないおばさんから突然「帯締めがおかしい!」と指をさされたことがあります。みると帯締めを挟み込んでいた部分がはずれただけなのですが、まるで犯罪を犯したかのごとく恫喝されました。

また、別の時には電車を待っていると「最近の着付けはなってないわあ~」と、聞こえるように後ろから大声で嫌味を言われました。(そのときは着物にブーツ姿でした。)

この着物警察、お直しおばさんたちは「着物はこうあるべき」という固定概念のもと、そのルールからはみ出ていると「ルール違反!」と厳しく注意をしてきます。私が遭遇した人のように、かなり怒り気味に言ってくる人もいます。

ただでさえ着物離れが叫ばれ、減少傾向の着物人口をなんとか増やそうと、着物関係者が努力しているというのに、こうしたお直しおばさんたちのパワハラまがいの行為で、着物ユーザーの心をへし折り、着物離れに拍車をかけている状況です。

着物警察の摘発ポイント

着物警察クレームのイメージ

着付けがおかしい(崩れている)

そうした「着崩れがゆるされない風潮」とあいまって、着物警察たちは、着付けのミスや着崩れを鬼の首を取ったように叱りつけ、説教します。

でも、ちょっと待ってください。昭和初期まで着物は普段着でしたから、着崩れは日常茶飯事でした。それに、昔の写真をみると、当時は帯板もせず、帯揚げも多く出していたりと、着付けは今よりフリーダムでした。

『アンティーク着物万華鏡 大正~昭和の乙女に学ぶ着こなし』

これはは身分の高い女性でも同じでした。今度、お札になる津田梅子さんの写真でも、おはしょりがもこもこしていて、帯締めの位置が低すぎたりします。今だったら着物警察の槍玉に挙げられそうな着付けをしているのです。

この季節に、この着物はおかしい!

着物は季節を告げ、先取りをするもの。そのため、素材や柄が季節によって明確に決められています。

10月から5月までが袷(あわせ:裏地のある着物)6月、9月が裏地のない着物(単衣)、夏は絽、紗などの夏用着物(または浴衣)と言われています。

けれども、昨今の異常気象では、昔の着物ルールをまともに守っていたら、熱中症で倒れます

最近では着付けの先生も、古いルールは遵守しなくて良いと教える方もいます。ただ、冠婚葬祭などフォーマルな場所では相手のために着るので、ルールは守っておいた方が無難かと。

着物を着ない人ほど、着物警察になる

着付けイメージ(訪問着)
着付けイメージ(訪問着)

このブログを書くに当たり、着物警察に関する記事をいくつか読んでみました。「着物警察」の他に「着物特高」というワードもありました。「特高」は戦前スパイや半政府主義者を強引な検挙や拷問で摘発した組織です。

それほど着物警察は、着物ユーザーには恐れられた存在なんですね。

着物警察発生の謎

いちばんしっくり来たお話が「着物=フォーマル」という考え方です。戦後、洋服が普段着となり、着物は結婚式など冠婚葬祭でしか着なくなりました。そのため、「きちんとした着付け=(ゆがんだ)正義」となっていったのです。

つまり、「普段着物」という概念がない。
たしかに、私が注意を受けた着物警察たちはみな洋服でした。

彼女たちは、フォーマルか習い事でしか着物を着てこなかった世代なのです。だから着付け教室や身内から習った着付けこそが正しい、と思ってしまっているのだとか。

「着物警察」考その3・・・マニュアル信者にならないで

誰のための着物なのか

呉服屋の着付師さんに教えていただいた言葉があります。
自分のための着物は自分流に、人のために着る着物はルールに従う。
これ、名言だと思います。

普段のおでかけで「自分のために」着る分には自己責任ですから、何を着てもいい。しかし、冠婚葬祭など「相手のために」着物を着るときはTPOを考えた着付けをしたほうがいいと。

まとめ みんな違って、みんないい

・着物警察はフォーマル至上主義
・季節やルールにうるさい
・フォーマルはきちんと、普段は自由に
・対抗するには着物仲間をつくり、知識を蓄える