『着物いろはがるた』近藤ようこ

きもの本感想 着物いろいろ雑記

着物いろはがるた』は、『あしたも着物日和』に続く、近藤ようこさんの着物エッセイ漫画です。着物のお手入れや収納など実用的な情報のほか、着物の歴史や原料の絹糸についてなど、幅広く描かれています。

きもの展示会の恐怖

近藤ようこさんの知り合いの編集者が体験した「恐怖の着物展示会」。その方が着物業界の怖さを知らない時、展示会で起きた出来事を描いています。実はこれ、私も経験があります。

反物を体に当てられ、強引に反物や帯を買わそうとする「グルグル巻の刑」。作家の先生までやってきて、数十回ものローンを組まされそうになり、トイレに行くふりをして逃げたそうです。

こうした展示会の「見るだけ、あてるだけ」は信用できません。褒めたり脅したり、「売れちゃいますよ!」と限定をアピールしたりととにかく買わせようとするのです。

着付け教室トラブル編 外伝 恐怖!ローン勧誘・地獄の展示会

着物の歴史

近藤ようこさんの本職(?)は歴史、それも古代から中世まで幅広い時代を舞台にした漫画家です。そんな歴史に詳しい近藤ようこさんが描く着物の歴史は興味深いものばかりでした。

源氏物語の装束や襲(かさね)と言われる布の色合わせの由来など、由来を知ると源氏物語がより深く楽しくなりそうです。

また、そうした優雅な歴史ばかりではなく、戦争中のもんぺファッションや、物々交換で晴れ着と食べ物を交換した話なども。

着物を着る機会が少なくなったのも、戦争が原因ではないかと語っています。確かに、着物をお米に交換したり、動きやすい洋服に仕立て直したりして徐々に着物の出番は減っていった気がします。

着物にまつわるよもやま話

着物は、仕立て方にも地方によって特色があるそうです。帯の結び方も昔は関東と関西では大きく違っていました。そんな着物にまつわる文化のお話も興味深かったです。

着物の素材である絹。これは蚕が糸を吐いてつくられます。知識としては知っているものの、実際に見たことがある人は少ないかもしれません。

近藤ようこさんは実際に絹糸づくりを行う団体をレポートしたり、実際に家で蚕を育てたりして、着物だけでなく、着物にまつわる体験もおこなっています。

こうした体験をすると、着物がより身近で、愛おしいものになるのでしょうね。